00798-070110 基調講演の撮影
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基調講演会場前に列をなす人々。Ricoh GR Digital。
San Franciscoで開催中のMacWorld Expo, 2007で行われたSteve Jobs氏のKeynote Speech(基調講演)でshioが撮影した写真の一部を公開しています。
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エスカレーターで上っていく孫さん。Ricoh GR Digital。
そのフォトセットや前回のエントリーをご覧になった方から、「F4のレンズでもここまでブレずに撮れるんですね……。腕の違いをヒシヒシと感じます。すごい!!」といったメッセージをいただいております。どうもありがとうございます。そこで今回は当日の写真撮影についてお伝えしましょう。
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待ちくたびれた報道陣。8:50まで待ってようやく会場に入ることができる。Ricoh GR Digital。
まず朝。パロアルトからサンフランシスコまでは1時間かかります。クルマで行っても電車で行ってもそのくらい。クルマで行くと駐車料金がかなりかかるので、今回は電車。4:45に起床して、Caltrainという電車の駅まで歩き、5:32に乗って6:36にSan Francisco着。Steve Jobs氏による基調講演(Keynote Speech)は9時開始予定。6:50の時点ですでに長蛇の列。基調講演会場のMoncone Westのブロックを半周以上囲むように、列が伸びていました。前日夜に通ったときにも既に20人ほど並んでいたので、徹夜組も相当いたことでしょう。幸いメディア関係者はその列に並ぶ必要はありませんが、それでも会場に入ることができたのは、なんと開始10分前の8:50でした。
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様々なコンテンツを背景に……
さて基調講演の撮影について。
キヤノンEOS 20Dの基本的設定は、Mモード。露出オートは使いません。
露出計はいつもと同じ、中央重点平均測光です。評価測光は、カメラがどういうアルゴリズムで測光値を判断しているのかが不明なので、使いません。
ISOは1600です。ごらんの通り、十分使える画質です。キヤノンを使い続けている理由のひとつです。
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コンテンツの「交通整理」をするジョブズ氏。
次にレンズ。
キヤノンEF70-200mm F4L USMです。
すでにIS付き(手ブレ補正機能付き)の新型「EF70-200mm F4L IS USM」が発売されていますが、shioが使っているのはそれ以前の旧モデル。安いし軽いのでこちらの方がいいです。EOS20Dは撮像素子がAPS-Cサイズなので、レンズの焦点距離が1.6倍になります。つまり、70-200mmは、普通の35mmフィルムカメラなどの112-320mmに相当します。
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Apple TVは、もちろんインテル入り!!
F値は開放(F4)に固定しています。基調講演はとても暗いので、これは当然。
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その先にあるのは……
シャッタースピードは1/40から1/160秒までを使いました。多くは1/160秒です。
このシャッタースピードで、320mmを手持ちでブレないように撮影するのは、ものすごく大変です。一般に手持ち撮影の場合、手ブレしにくい限界のシャッタースピードは、焦点距離の逆数といわれています。つまり、320mmのレンズなら1/320秒以上でシャッターを切ればブレにくいということ。でも、ISO1600、F4では、1/160秒が限界です。F2.8だったら1/320秒で撮ることができる計算ですが、EF70-200mm F2.8 USM(またはIS USM)は倍ほどの重量があります。したがって、2時間の間、1.5kgのレンズ+カメラをぶらさないように手持ちで構え続けるのは、ちょっと厳しそう。なので、F4がバランスがとれているのではないかと思います。
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Ricoh GR Digital。
三脚は使用せず、手持ち。
ほとんどのカメラマンは、ステージに向かって左側に用意されたカメラマン用の高い台の上に三脚を立てて撮影しています。一方、座席からだと撮影は認められているものの三脚や一脚の使用は禁止。三脚を使わないshioは、当然、座席に座って撮ります。
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会場にいるフィル・シラー氏が、ステージ上のJobs氏のiPhoneと会話。フラッシュの使用は禁止されているのでshioはフラッシュを使っていませんが、うしろの人が光らせたフラッシュがうまく同調しました。EF28mm F1.8。
ドライブのモードはシングル。
つまり、連写は一切使いません。そもそもshioは、写真撮影を初めて十数年、連写モードを使ったことはありません。常に一枚一枚、丁寧に撮ります。今回の基調講演で1,600枚以上の写真を撮影していますが、全部、一枚一枚撮った写真です。すべて、「撮りたい絵」を丁寧に撮ってます。連写モードで動きを追うようなことはしません。
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コンテンツの視聴は大きなスクリーンでどうぞ!!
シャッタースピードの遅い撮影を手持ちで行うために大切なのがカメラのホールド。
左手です。カメラは右手で持つのではありません。左手で持つのです。右手はシャッターボタンを押す手。つまり「動く手」です。その動く手でカメラをホールドしたのでは、ブレます。右手は力を抜いてシャッターボタンを押すことに集中します。一方、カメラは「動かない手」である左手でがっちり固定します。固定するためには、左腕は胸に押さえつけています。そしてカメラも顔に押し付けています。それでブレをできる限り回避するのです。
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いまあるスマートフォンって、ホントにスマート?
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これがいまあるスマートフォン……
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ピントは常にジョブズ氏。
これも、一枚一枚丁寧にジョブズ氏にピントを合わせます。shioが撮影しているのはジョブズ氏。ステージのスクリーンに映ったスライドは「背景」に過ぎません。shioはスライドを撮影しているのではなく、あくまでも話しているジョブズ氏を撮影しているのです。ジョブズ氏はデモをしているとき以外、ステージ上で右に左に、常に動いています。真正面からではなく左手前から撮影していますから、ジョブズ氏までの距離は常に変化します。なので、一枚一枚、ピントをきっちり合わせてから撮影することが必須です。
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これがiPhone。手を使います。「手」を!!
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ピント合わせは、カメラに複数(EOS20Dの場合は11点)あるフォーカスポイント(測距点)のうち、中央の一点のみを使います。これもshioが写真を撮り始めて十数年、常に中央1点しか使っていません。カメラメーカーはフォーカスポイントを増やすことに力を入れていて、機種によっては45点測距のカメラまでありますが、shioが使うのは中央の1点のみ。なぜなら、中央の1点が、ピントの精度が一番高いからです。とくに基調講演のような暗い状況では、中央以外の測距点ではピント合わせに時間がかかるか、ピントが合わないのではないかと思います(試してませんが)。
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OSXのメリットを全部享受できます!!
中央のフォーカスポイントでピントを合わせてからフレーミングし直すと、問題となるのがコサイン誤差。中央でピントを合わせてからカメラを回転させるわけですから、ピントを合わせた距離と被写体までの距離とが微妙にずれます。そこでその誤差は体で吸収します。中央でピントを合わせた後、フレーミングする際、微妙に体を動かすことによって、ピントの距離にカメラの位置を合わせるのです。またこのように、最終的に体でピントを合わせる前提でピント合わせをすると、ピントを合わせた後に被写体が多少動いても、それに合わせて自分も動けばピント位置を直すことなく撮影することができます。さらにこれなら、一度ピントを合わせた後、被写体の動きに合わせて自分も体を動かすことによって、ピントを合わせ直すことなく、何枚か撮影することができます。
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マジでいいソフトを作りたいから、ハードも作るんです。
そのため、AF(オートフォーカス)の作動を、シャッターボタンではなく、カメラ背面のAEロックボタンに割り当てています。したがって、AFの機能がシャッターボタンから切り離されていて、シャッターボタンをいくら押してもフォーカスは動かないため、ピントを固定したまま、何枚も撮影できるのです。
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ニモも飼えます!?
またその場合、シャッターボタン半押しには、AEロックが割り当てられます。
今回のようなステージの撮影では露出はマニュアルですが、日常、気軽に撮影する場合、露出はたいがいプログラムオートモードを使います。その時に頻繁に使うのがこのAEロック。欲しい露出値(絞りとシャッタースピードの組み合わせ)が出る方向にカメラを向けてシャッターボタンを半押ししてロックし、そのあとフレーミングして撮影します。露出補正を使うときもありますが、この方が速い場合もありますので、適宜使い分けます。
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こんなにステキな「iPod」!!
撮影時に最も困るのはミラーショック。
一眼レフに不可避です。レンズを通した像をファインダーで見るために入っているミラーが、撮影の瞬間、パタンパタン、と上がって下がります。その一往復の際に生じる振動が、ブレ発生の原因です。シャッターボタンを押す際やカメラをホールドする手の動きによって生じる「手ブレ」は、修練によってかなり小さくすることができますが、ミラーショックだけはどうにもなりません。
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499ドルでいかが?
この点、ニコンの一眼レフはキヤノンの一眼レフよりも、明らかにミラーショックが小さい。この点が、ニコンを使いたい、と思わせる最大の要因のひとつです。キヤノンのミラーショックがもっと小さくなってくれれば……と切に願っています。
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提携先(Partnership)は……
ついでに、ニコンを使いたいもうひとつの要因はファインダー。
圧倒的に見やすい。キヤノンのファインダーはピントの山がつかみにくいです。前述のとおり、shioは体でピントを合わせるのですが、その際にファインダーでピントが合っているかどうか確認します。でも、実際は非常に見えにくい。暗いところではなおさら見えにくい。だから経験に頼って勘で合わせてます。本当に「体で」ピント合わせをしているのです。これがもうちょっと見やすいファインダーならもっと楽なのに……と思います。
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cingular。
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とはいえ、両者、いや各社、一長一短があるから面白いのです (^_^)
たとえばニコンには今回使ったようなF4固定の望遠ズームレンズは存在しないし、それ以外にもshioが好きな明るい単焦点の広角レンズがありません。F2以下の広角レンズは設計の古い35mmのみ(28mmF1.4があったけど生産終了)。もっと広角なF2以下のレンズが1本でもあれば、D80かD200を使いたいと心から思っています。写真はレンズなので、結局使いたいレンズが用意されているキヤノンを使っています。マニュアルの時代はニコンの35mmF1.4を頻用していたshioとしては、いささか残念。
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陶酔。
2時間の基調講演で1,600枚。
多いように見えますが、平均4.5秒に1枚です。連写せず、一枚一枚、ゆっくりゆっくり撮ってます。基調講演自体を楽しみたいですから (^_^)
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これからの30年が楽しみ!!